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雨音と共に

読んだ本の感想などを書き綴っていくブログです

君の膵臓をたべたい

 初めに

かなり斬新なタイトルだったので初めて目にした時からずっと気になっておりました。

最近、話題に上がることが多くなっていたので思い切って読んでみました。 

 

 

君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

 

  

 

登場人物

本作を読んでいて面白いと感じた点は、登場人物の個性でした。私は小説を読み始めてからおそらく初めて、主人公とヒロインの2人の会話をずっと聞いていたい、もっと聞きたいと思いました。それだけそれぞれの個性が輝いており、その2人が出会うことで化学反応を起こし、聞いていて心地よい会話を生み出すのだと感じました。

個人的には会話のテンポの良さが気に入りました。ヒロインは膵臓の病気にかかっておりますが、それをネタに笑いを取ろうとしたり、それを主人公が軽くあしらったりするやり取りが面白いのです。

ヒロインは病気をどう乗り切るかということを考えるより、残りの人生をどう生きるか、そしてこの世界に何を残せるかということを考えて生きているので、とにかく前向きなのです。その姿を見て応援したくなるはずなのに、いつの間にか彼女の言葉に逆に勇気づけられてしまいます

主人公も初めはたまたま彼女の秘密を知ってしまい、そんな彼女と過ごす時間でさえ他人と同じように興味のない素振りを見せますが、やはり最後には彼女の大切さを再認識し、生きる意味を見つけるまでに成長します。ありきたりかもしれませんが、やはり主人公が生きる意味を知った瞬間が最も好きなシーンです。

 

 

あらすじ

他人と関わろうとせず、誰に対してもそっけない態度で接する主人公と、誰に対しても明るく、気兼ねなく接するヒロイン。一見、交わらないように見える2人の人生が、彼女の秘密を知ったことをきっかけに交わった時、初めて生きるということを実感する。そんな物語です。

 

 

タイトル

君の膵臓をたべたい

特徴的なタイトルであったため、1度、目にしてからなかなか忘れられませんでした。

私はこのタイトルを目にしたとき、やはり主人公と同じように「いきなりカニバリズムに目覚めたのか」と思いましたが、当然そのようなことではないと確信しておりました。

物語の初めで、身体の悪い部分を食べると病気が治る、といった話が登場します。実はこの話を知っていたので、タイトルはそう意味なのだと思い込んでしまいました。しかし、そういう意味でもありませんでした。

主人公のヒロインに対する想い、ヒロインの主人公に対する想い、そして「爪の垢を煎じて飲ませたい」ということわざ。この3つが明らかになった時、このタイトルがさらに好きになりました。本当に素晴らしいタイトルだな、と。

 

 

総合的な感想

読了後に表紙のタイトルを見返して思わず目頭が熱くなってしまいました。私もヒロインに憧れを抱くようになり、改めて「生きる」ということを考え直したいと強く思いました。今まではミステリーやSF小説ばかり読んで、青春小説や恋愛小説は「びみょん」と決めつけて読んでこなかったのですが、「うわははっ」と笑えて、目頭が熱くなるほど考えさせられる小説というのも良いなと興味が湧いてきました。こういう風に読む小説の幅が広がるのだな、と実感した一冊でした。自信を持っておすすめさせていただきます。